ラジレキ

要点から背景まで、流れでおさえる日本史の全体像

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大海人皇子

天智天皇の同母弟で、天智天皇の死後に甥の大友皇子と天皇位を争う壬申の乱に勝利して、第40代天皇、天武天皇となりました。

天智天皇の同母弟とされているのですが、珍しく生年が「日本書紀」に記載されていないんですよね。そこから「実は弟じゃないんじゃないか?」「実際には皇族ですらないんじゃないか?」的な古代ミステリーが惹起されたりします。しかも皇后が天智天皇の娘、すなわち大海人皇子からみたら「姪っ子」なんですよね。以前、皇極天皇の項で皇極天皇が叔父さんと結婚したけど、当時は「異母兄弟は他人」という風潮がある中での結婚でしたと説明しました。なので、同母兄弟の叔父・姪の結婚というのは、とても珍しいんですよね。

そんなあたりから、大海人皇子の出生については、色々と噂がでちゃうんですね。この「中大兄皇子と大海人皇子は実は兄弟じゃない」というのは、古代での創作ネタとして、わりかし頻繁に使われるネタなので、覚えておくといいかもです。

さて、真面目な話をしましょうか。大海人皇子は、壬申の乱で大友皇子(弘文天皇)を倒したあと、天武天皇として即位して政治を行います。飛鳥浄御原宮を造営し、その治世は続く持統天皇(天智天皇の娘で、天武天皇の皇后)の時代とあわせて天武・持統朝などの言葉で一括されることが多いですが、大化の改新的な動きの総仕上げをしていきます。日本の統治機構、宗教、歴史、文化の原型が作られた重要な時代となりました。文化的には白鳳文化の時代となります。

天武天皇は、人事では皇族を要職につけて他氏族を下位におく「皇親政治」をとりましたが、自らは皇族にちゃちゃいれられることなく、専制君主として君臨。「八色の姓」で氏姓制度を再編するとともに、制の導入に向けて制度改革を大胆に推し進めました。飛鳥浄御原令の制定、新しい都(藤原京)の造営、『日本書紀』と『古事記』の編纂は、天武天皇が始め、崩御後に完成した事業です。

宗教的には、道教に関心を寄せ、神道を整備し、仏教を保護して国家仏教を推進しました。「天皇」を称号とし、「日本」を国号とした最初の天皇とも言われています。

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