「ばさら」とは、日本の中世、主に南北朝時代の社会風潮や文化的流行をあらわす言葉であり、実際に当時の流行語として用いられました。婆娑羅など幾つかの漢字表記がありますが、戦乱の世の中を反映して、身分秩序を無視して実力主義的であり、公家や天皇といった権威を軽んじて嘲笑・反撥し、奢侈で派手な振る舞いや、粋で華美な服装を好む美意識を持っていました。後の戦国時代における下克上の風潮の萌芽でもあります。ただし戦国時代の頃になると、史料には「うつけ」や「カブキ」は出てきますが、「婆娑羅」およびそれに類する表現はなくなってしまいました。高師直・佐々木道誉・土岐頼遠などが、代表的なばさら大名で、豪奢な生活、実力行使や傍若無人な振る舞い等が『太平記』などに描かれています。
ちなみに、保守派の代表格である足利直義(将軍尊氏の弟)主導の下で編まれた、室町幕府の『建武式目』では、ばさらが禁じられています。