借上(かしあげ)とは、平安時代後期から南北朝時代にかけて存在した金融業者のこと。あるいは、この業者による高利貸付行為を借上と呼びます。宋銭が広く通用するようになった院政期(12世紀以後)に見られ、初めの頃は、特に寺社に属する僧侶や神人がこれに関わる事例が多かったです。
鎌倉時代に入ると借上の存在感は大きくなり、『庭訓往来』には「泊々借上、湊々替銭、浦々問丸」と記され、替銭(為替業者)・問丸(倉庫業者)と並んで港町における代表的商人として認識されていました。所領経営に苦しんだ御家人の中には所領や武具などを担保として借上から金を借りて返済が出来なくなり、場合によっては所領自体を奪われたりする事例が出てくるなど、社会に大きな影響力を示します。
南北朝時代になると、ほぼ同一の業務を行う「土倉(どそう)」が登場するようになり、室町時代には土倉の呼称で統一されて文書などからも借上の名称は姿を消えました。