延暦寺(えんりゃくじ)は、比叡山全域を境内とする天台宗の総本山の寺院。本尊は薬師如来。正式には比叡山延暦寺(ひえいざんえんりゃくじ)と号しています。
異名として、「比叡山」または「叡山」とも呼ばれます。他に、奈良仏教勢力を南都と呼ぶことに対して「北嶺(ほくれい)」と呼ばれたり、延暦寺の近くにある園城寺を指す寺門に対して「山門」などの呼ばれ方もあります。
平安時代初期の最澄によって開かれた日本天台宗の本山寺院です。住職(貫主)は天台座主(てんだいざす)と呼ばれ、仏教界における最高権威の一つであります。滋賀県にありますが県境に位置し、古都京都の文化財の一部として、ユネスコ世界文化遺産にも登録されています。
最澄による創建以来、空海の高野山金剛峯寺と並んで平安仏教の中心寺院として存在感があり、密教絶対中心主義の高野山に対して、延暦寺は、天台法華の教えのほか、密教、禅、念仏も行なわれたため、仏教の総合大学の様相を呈していました。
ちなみに現代では、お寺の名前、寺名はどうにでも名付けられますが、近代以前においては、寺名に元号を冠することは、朝廷による許可が必要でした。その許しを得た最初のお寺が比叡山延暦寺でした。
他には、仁和寺(京都)、建長寺(鎌倉)、寛永寺(江戸)の三つしかなく、全部で四つしかないため、延暦寺というお寺の名前の重要性、延暦寺の立ち位置というものがよく分かろうかと思います。