戒壇(かいだん)とは、仏教用語で、戒律を授ける(授戒)ための場所を指します。この戒壇で、授戒を受けることで出家者が正式な僧尼として認められることになります。奈良時代に唐からやってきた鑑真によって754年、東大寺に戒壇が築かれたのが、日本での最初の戒壇でした。その後、東大寺に戒壇に続いて、大宰府の観世音寺、下野国(現在の栃木県)の薬師寺に戒壇が築かれました。(天下の三戒壇)。
これ以降、僧になるためには、いずれかの戒壇で授戒を受けることが必須となりました。南都仏教と対立・論争をしていた最澄は、あらたに自分たちが考える内容での授戒をしたいと考えており、大乗戒壇の設置を朝廷にお願いをしていました。822年、最澄の死後にようやく延暦寺に対して戒壇の設置が認められました。しかし、官立寺院(官寺)ではない延暦寺の山内に戒壇設置を認められたことに、東大寺をはじめとする南都仏教の寺院側は反発し、両者の対立の原因の一つとなりました。
ちなみに、中国仏教界でも、この延暦寺の大乗戒壇を、戒壇としては認められず、例えば、ここで受戒した鎌倉時代の道元も、中国に留学した際に、中国では僧侶として認められませんでした。