本居宣長(もとおり のりなが)は、江戸時代の国学者、医師です。自宅の鈴屋(すずのや)にて門人を集め講義をしたことから鈴屋大人とも呼ばれました。荷田春満・賀茂真淵・平田篤胤と共に国学の四大人の一人とされています。
本居宣長は、契沖の文献考証と師・賀茂真淵の主張を継承し、国学の発展に多大な貢献をしました。特に、真淵の励ましを受けて『古事記』の研究に取り組み、約35年を費やして当時の『古事記』研究の集大成である注釈書『古事記伝』を著しました。この『古事記伝』は、当時の人々に衝撃的に受け入れられました。なぜなら、一般には正史である『日本書紀』が重要で、『古事記』はあくまでも『日本書紀』の副読本くらいの位置づけだったのです。ところが、『古事記伝』を通して、『古事記』が、独自の価値を持った史書としての評価を獲得していくことになりました。