防人の歌(さきもりのうた)とは、大化の改新の後、九州沿岸の守りについた防人が詠んだ歌で、故郷である東国に残した妻・恋人、家族などを思った望郷の歌が多いです。万葉集に収録されています。
「わが妻は いたく恋ひらし 飲む水に 影さへ見えて 世に忘られず」
(現代語訳) 私の妻はとても恋しがっているようだ。飲もうとする水に影までもみえていて、決して忘れられない。
「唐衣 裾に取りつき 泣く子らを 置きてそ来ぬや 母なしにして」
(現代語訳) 唐衣にすがって泣きつく子どもたちを(防人に出るため)置いてきてしまったなあ、母もいないのに。