惣領制のところで解説したありますが、必ずしも「均等分割」ではありません。惣領たる嫡子が主要部分を継承し、女子は、庶子と同様に分割相続する権利がありました。主要部分以外を分割相続するわけですが、それでも相続の回数を重ねれば、土地は細分化されていくわけなので、収益効率等々が悪くなってしまいます。
「じゃあ、惣領が一括相続したらいいじゃないか!」となるわけですが、御家の発展を考えれたら、お馬鹿じゃ困るわけです。まだ時代は大貴族たちの勢力もそれなりにあり、「武士だけ」の天下ではなかったからです。そのため、「一番能力が高いやつに相続させよう!」となるわけですね。でも能力の高い・低いってどうやって決めるんでしょうか?しかも、誰かが惣領に選ばれたとして、それにみんながOKとなることばかりではないですよね?「なんでアイツなんかが選ばれるんや」というのは、現代でもよく見る光景です。ということで「南北朝の争乱→ちょっとの安定→戦国時代」の到来と繋がっていくわけです。
そして戦国時代を経て、大貴族と武士の両方による二重支配的な状況が一掃され、社会は安定的になっていったので、相続については「長子相続」となり、「馬鹿でも阿呆でも、決められたルールを守った方が、戦乱や争乱が生じないよね!」という江戸の硬直的だけれども、競争もない太平の世となっていったわけです。