柳沢吉保(やなぎさわ よしやす)は、第5代将軍・徳川綱吉に仕えた、幕府側用人・譜代大名です。綱吉から特に寵愛され、元禄時代には大老格として幕政を主導しました。また、政治家としてのみならず、文化人としても王朝文化への憧憬を強く抱いて、江戸に六義園を造営し、この六義園には綱吉もたびたび訪れました。実はこれって凄いことで、普通・将軍が家臣の邸宅なんかに行かないんですよ。だって、将軍は「お前が来い!」でOKですし、あるいは、どんなに立派な庭園だったとしても「将軍様の庭園よりはみすぼらしいものでございます」って世界ですから。さらに言うと、かつての室町時代には、6代将軍・足利義教が家臣である赤松家に招かれて謀殺される事件(嘉吉の変)なんてこともありました。こういった点からも綱吉の吉保への寵愛・信頼ぶりが分かりますね。
将軍綱吉が死んで、6代将軍に家宣が就任し、彼の側近たちが幕閣となると、吉保は隠居を願い出て引退しました。