征夷大将軍とは、東方の「蝦夷を征討する」ことを任とした役職のこと。常設の役職ではなく、臨時にしか置かれませんでした。外征(=朝廷から遠く離れたところで戦う)のため、さまざまな権限を有していました。出先でいちいちお伺いかけてたら、戦争遂行できませんよね?なので、占領地での軍政を敷いたり、兵隊さんたちへの論功行賞をしてご褒美をあげたりしていました。将軍の外征時の本拠が「幕府」だったのです。幕=すなわちテントです。いまでも自衛隊なんかが災害派遣されたり、イラクに派遣されたりする映像で、テントを設営して任務にあたっていると思いますが、まさにあのテントが「幕」なわけです。で、偉い人がいるところ「府」ということで、幕府なんですね。後に、源頼朝が征夷大将軍に任じられて、武家の棟梁の称号となっていき、武家政権の為政者としての意味を持つようになります。
「征夷大将軍」という名称の初例は、794年の大伴弟麻呂。坂上田村麻呂は二例目です。ただし、「蝦夷討伐」の将軍という意味では、鎮東将軍や征討大将軍など様々な名称が征夷大将軍の名称以前からありました。坂上田村麻呂以降は、征夷将軍、征東大将軍がいて、源頼朝以降は、武家の棟梁としての意味合いを以て征夷大将軍に統一されていくイメージです。