『好色一代男』(こうしょくいちだいおとこ)は、江戸時代前期、1682年(天和2年)に刊行された文芸作品。井原西鶴の処女作であり、浮世草子の嚆矢とされます。享楽的な上方の大町人の家に生まれた男・「世之介」こと浮世之介が、7歳にして恋を知り、幾多の恋愛経験を経て、浮世の好色を尽くしたあと、60歳におよんで女護ヶ島に舟出するまでの54年間の生涯を描いた一代記です。当時、仏教思想や儒教道徳から罪悪視されていた愛欲を、町人らしい生きた思想や感情で肯定的に描いた画期的作品と位置づけられています。なお、その構成および主人公の設定は、『源氏物語』などからの影響を受けています。