蓄銭叙位令(ちくせんじょいれい)は、和銅4年(711年)10月に、銭の流通を促進するためと、政府への還流を計って施行された法令です。
一定量の銭を蓄えた者に位階を与えるよう定められた令で、早くも同年11月には叙位がありましたが、この叙位が蓄銭叙位令の唯一の例であり、これ以外にどの程度実施されたか明白ではありません。ゆえに、この法令が機能したのかどうかは定かではありません。延暦19年(800年)に廃止されました。
ちなみに、この蓄銭叙位令の中には、私鋳銭(銭を自分で鋳造・作成すること)を製造しないよう、私鋳銭製造の罪に、大宝律令の「徒三年」より厳しい「斬」(五刑の最高刑)、すなわち死刑が加えられています。