まさに律令制が有名無実化していったわけです。「令制」というのが律令制のことですね。そこで規定されている組織図とか官職とかに関係なく、「令外官」を作りまくって、本来は、天皇・太政大臣・左大臣・右大臣という風に権限を有しているはずなのに、そういったものに関係なく、「摂政・関白」の地位にある人が政治を主導する「摂関政治」となるわけです。その後も日本の政治は、「院政」「武家政治」といった律令制に基づかない権力者によって動かされていきます。
現代においても、ルールに縛られない権力者の存在があります。それは政府に限らず、会社や地域社会などにおいても。
日本特有のことではありませんが、特に日本社会は「誰が何の権限を持っているのかわからない=誰に話せばいいか分からない」という社会であるのは、はるか昔からのことなのでした。