郵便事業は、通信制度の一つですね。ここで日本における通信制度の歴史を概括しておきましょう。まず、日本において通信制度が現れたのは大化の改新のタイミングです。このとき伝馬などを利用して公用通信に供した「大化の駅制」というものが整備されたとされています。その後、この駅制は盛衰を続け、鎌倉時代に至って飛脚の出現となり、戦国時代には大名の書状送付に飛脚が利用されるなどを経て、江戸時代に幕府の整備により武家や町人が利用できる飛脚屋・飛脚問屋などの制度が発達しました。その後明治時代に入り、飛脚は郵便に移行することになります。
1870年(明治3年)5月、前島密は、太政官に郵便制度の創設を建議。1871年(明治4年)1月24日に郵便に関する一連の太政官布告が公布され、4月20日(旧暦3月1日)、東京 - 京都 - 大阪間に現行の制度の礎となる郵便制度が確立され、東京・京都・大阪に最初の郵便役所が創設されました。
翌1872年(明治5年)8月に、郵便役所はさらに横浜、神戸、長崎、函館、新潟と全国展開が図られ、江戸時代に地域のまとめ役だった名主に自宅を郵便取扱所とする旨を要請、1873年(明治6年)に全国約1100箇所の名主が郵便取扱所を快諾したことから、郵便制度は全国に拡大したのでした。