五榜の掲示(ごぼうのけいじ)は、五箇条の誓文の翌日に明治政府)が立てた五つの高札のことです。対外向けの五箇条の誓文では海外との交流、新しい政治を宣言しているのに対し、この五榜の掲示は国内・民衆に対しての明治政府の政治姿勢を示したものです。
第一札では、五倫(君臣の義、父子の親、夫婦の別、長幼の序、朋友の信。端的には天皇や家父長に対する忠孝)や憐れみの推奨および悪業の禁止
第二札では、徒党・強訴・逃散(集団で謀議を計ること)の禁止
第三札では、キリスト教や邪宗門の禁止
を掲げていて、いずれも江戸幕府の統制をそのまま踏襲したものです。
第四札では、明治新政府独自の万国公法の履行と外国人殺傷の禁止
第五札では、古代律令制の復活を彷彿とさせる脱籍浮浪化に対する禁止
といった内容となっています。
第一札から第三札によって江戸幕府の統制を継承をした一方で、同時に旧幕府時代の高札の廃棄も命じていますので、「五榜の掲示」は新政府の権威を象徴する性格も有していました。