備中鍬(びっちゅうぐわ)は、深耕や水田荒起に用いる鍬を改良した農具です。刃の先が2本から6本に分かれているものが「備中鍬」と呼称されていますが、「備中鍬」の名前で呼ばれるようになったのは江戸時代からです。特に文化・文政時代(18世紀末から19世紀前半)に普及しました。
平鍬と違い、湿り気のある土壌を掘削しても、金串状になっている歯の関係で歯の先に土がつきづらいのが利点。そのため、粘土質の土壌や、棚田を耕すために使われました。また、馬や牛、鳥を所有することが出来ない小作農にもよく使われたといいます。