喧嘩両成敗(けんかりょうせいばい)とは、中世から近世にかけての日本の法原則の1つ。「喧嘩」に際してその理非を問わず、双方とも均しく処罰するという原則のことです。「喧嘩」というと、現代では軽いニュアンスのものですが、元々は、「騒動」「喧騒」の意味合いがあり、まあ「紛争」と思ってもらったらいいです。社会が不安定化し、公権力による仲裁が期待できない状況になると、訴訟に寄らず、自分の実力によって解決しようとする「自力救済」が頻発するようになります。この「自力救済」を封じるための原則が「喧嘩両成敗」なのです。なので、ある人Aがいて、そのAに対して不満を持っているBが武力に訴えて問題を解決しようとした場合、我々現代人は「AとBが喧嘩している!」と考えますね。なので、「喧嘩両成敗」となるなら、AとBがそれぞれ処罰されるという風に考えてしまいますが、これは誤りです。
「問題を起こしたら双方を処分」するのではなく、「問題を武力で解決しようとしたら双方を処分」なのです。このケースの場合は、Bだけが処罰されます。もし、Bの攻撃に対して、Aが反撃したら、Aも「武力で解決しようとした」ということで、AもBも処罰対象となります。Aがやるべきことは、「訴訟」に訴えるってことですね。なので、一方的な攻撃のことは、喧嘩ではありませんので、その点、ご注意ください。