仏教の根本は、「ゴーダマ・シッダールタ」という人物が仏になったということを信じるところにあります。人間が「仏」になれるのが仏教なのですが、その「成仏」できる人はいったい誰なのか問題があります。「誰でもなれるのかどうか」ということで、いわゆる小乗仏教(上座部仏教、部派仏教)では、それは限られた人間だけだと説きます。成仏には、才能が必要だってことですね。
一方の天台宗や真言宗が連なる「大乗仏教」では、人間には誰でも「仏性」という仏になる素養があり、誰でも成仏できると主張したのでした。これを「一切衆生悉有仏性(いっさい しゅじょう しつう ぶっしょう)」と言います。衆生とは一般大衆のことですね。誰でも仏性があるんだから、みんな仏になれるぜ!ってことです。 ちなみに後には、天台宗ではこれがさらに発展して、山川草木や生類すべてに仏性が備わっているとする考え「一切悉有仏性(いっさいしつうぶっしょう)」とまでたどり着きます。