本願寺派(ほんがんじは)は、浄土真宗の中でも親鸞の嫡流によって紡がれた教派のことです。「本願」とは、阿弥陀仏の願いのことを指し、この本願の中に「わたし、阿弥陀仏に帰依するものは極楽浄土に往生させてあげよう」というものが含まれているため、本願寺という名称が浄土真宗系の寺院の名称に採用されています。16世紀末期に東と西に分裂し、東側は20世紀後期に発生したお東騒動の影響でさらに分裂しています。
親鸞の嫡流(血統)による教派なので、浄土真宗の中でも有力な教派に思える本願寺派ですが、その勢力は衰えていました。というのも、まずそもそも仏教においては、基本的に妻帯は禁止されているわけで、当時の普通の感覚からしたら「俺は宗祖様の嫡流・血統だから一番ご利益の高い教派なんだ!」という発信があったとしても、あんまりピーンとこないんですね。なんというか、仏教界は血縁が断絶することが前提の世界なので、血脈よりも「法脈」と呼ばれる「いかに教えを受け継いでいるか」という実力主義的な面があり、それが一般的な感覚だったんです。例えるなら、「おれは羽生善治の血統だ!俺の将棋が最高なんだ!」よりも「おれは羽生善治の弟子として修業をしっかりと積んで、実績を残している。」という主張の人の方から将棋を習いたいですよね。だって、将棋の強さとか教えるのうまいとかに血筋は関係ないですもんね。
ということで、本願寺派は室町時代においては、浄土真宗の中でも勢力が弱かったんです。それが変わるのが、蓮如という男が出てきてからですね。