「雪どけ」とは、1956年のスターリン批判後のソ連で、言論の自由の制限などが一時的に緩和されたうごきのことを指します。第二次世界大戦後のソ連において、1953年にスターリンが死去、さらに1956年のフルシチョフによるスターリン批判によって共産党一党独裁のもとでの言論抑圧が一時的に弱まりました。言葉の由来は、1954年に作家エレンブルグが発表した小説『雪どけ』から。ソ連において検閲制度は残りましたが、表現の自由はかなりの程度認められ、ロシアの作家はほぼ30年ぶりに自分の書きたいものが書けるようになりました。1962年にはソルジェニーツィンの『イワン=デニーソヴィッチの一日』が発表され、シベリアの政治犯の強制収容所の実態が初めて取り上げられ、大きな反響を呼びます。しかしその反動は、同年1962年末と翌1963年3月にすぐに現れ、フルシチョフは行き過ぎた自由を戒める警告を発し、ブルジョワ的影響の危険性を指摘して社会主義リアリズムを強調。「雪どけ」は長くは続きませんでした。