唯一神道(ゆいいつしんとう)は、室町時代に京都吉田神社の神職・吉田兼倶によって大成された神道の一流派。吉田神道、卜部神道とも呼ばれます。
唯一神道は、本地垂迹説である両部神道や山王神道に対し、反本地垂迹説(神本仏迹説)を唱え、本地で唯一なるものを神として森羅万象を体系づけて、汎神教的世界観を構築しました。
すなわち、唯一神道は、中世の神道思想を集大成し、様々な宗教(仏教・道教・儒教など)の思想・諸言説を越境的に統合しつつも、仏教から独立した独自の教義・経典・祭祀を持つはじめての神道説となったのでした。
ここで神道の流派を整理しておくと、
○本地垂迹説・・・神道の八百万の神々の本体は様々な「仏」。
山王神道:比叡山の山岳信仰と延暦寺の天台宗が習合して生まれた神道
両部神道:真言宗の立場から解釈された神道
○反本地垂迹説(神本仏迹説)
伊勢神道:大成者は伊勢神社外宮の度会家行
絶対神の存在を強調、反仏、排仏の姿勢を示す神国思想
唯一神道:大成者は京都吉田神社の吉田兼倶
唯一なるものを神として森羅万象を体系づけり汎神教的世界観