日親(にっしん)は、室町時代の日蓮宗の僧侶です。日蓮とは別に血縁関係はありません。この人の最大のポイントは、「不受不施(ふじゅふせ)」を初めて唱えたとされていることです。これは何かというと、まず「不受」が法華経信者でない者からお布施を受けとりませんということで、「不施」の方は、法華経信者でない者に対しては供養を施さないことを指します。要はこれは、他宗派の存在を認めないってことなんですよね。もともと日蓮宗の宗祖である日蓮はこれに近い姿勢を持っていましたけど、他宗派との妥協や他宗派の信者からの施しを受けるなど、次第に変質していきました。「純粋にいったらそうだけど、臨機応変にやらなあかんな」って感じです。しかし、日親は「あかんあかん!」と純粋に教理を追究したのでした。こんな彼でしたので、周囲との軋轢は想像に難くないと思うのですが、室町幕府・足利将軍家に対しても堂々と「日蓮宗に改宗しなはれ!」と主張するわけです。時に拷問を受けたりもしたんですが、その中で、灼熱の鍋を被せられたまま説法を説いたという伝説が誕生し、「鍋かぶり上人」「鍋かぶり日親」等とも呼ばれました。